あなたの知らないフィギュアスケートの世界#1『ボレロの世界』R6.06.20
- 2024年06月20日
-
こんにちは、興和流通商事の設計で
フィギュアスケート勉強家の野村です。
先日、劇的にスタートした浅田真央アイスショー
『Everlasting33』が大好評のうちに千穐楽を迎え
早速エバラスロスとなっている人々が続出しているわけなんですが
そこの大トリの演目で、ファン投票1位、
もちろん私もずーっとずーっと待ち望んでいたことは
前回記述させていただきましたが、
そのとき、何故ラヴェルの『ボレロ』が
フィギュアスケートにおいて『特別』であるのかは
また後で記事にしますとお伝えしましたので、
今回!!!
そちらを取り上げたいと思います!
ちなみにこちら不動産会社とは一切関係のない記事で(いつも?)
いち社員が独断と偏見で勝手に記事にしているだけですので
どうぞお気になさらず酒のつまみ程度にして頂けたらと思います。
-
現在、年末に行われる全日本フィギュアや、
世界選手権大会などのテーマソングで使用されている曲は
ラヴェルの『ボレロ』ですよね。
なぜよく『ボレロ』が使われるのかと質問されたことがあります。
スケオタであれば誰でも知っているのですが
フィギュアスケート有名な人が滑っていれば見るよ、なライト層の
方々からすれば、よく聞く曲だな~くらいの感覚かもしれませんが、
実はフィギュアスケートにおいて『ボレロ』は
そうそう容易く滑ってよい曲ではございません。
それほど敷居の高い曲となっていて
まずスケーティングに定評のある選手でも
滑るのが非常に難しい曲なのです。 -
ではなぜ「難しい」のか。
それは1984年のサラエボ五輪にて
イギリスのアイスダンス
ジェーン・トービルとクリストファー・ディーン組が
なんと芸術点『満点』の演技をしてしまったからなんです!!!
当時、採点は旧採点方式と呼ばれ『6.0』点満点で競われていました。
そこで、フィギュアスケートの歴史において史上初めて
6.0が全て並ぶ、オール満点をたたき出してしまったのです!
しかも、最終滑走者ではないのにもかかわらず、です。
彼らの演技はまさに芸術。
これまでのアイスダンスの歴史を覆すものでした。
それまで、演技時間は4分を超えてはならないという規定がありましたが、
彼らはそれを逆手に取ります。
その「4分を超えてはならない」というのは
ルールブックには
「スケーターが滑走を始めてから4分を超えてはならない」
というものであったため、
彼らは何と
曲が始まってから実に18秒の間
氷上に膝をつき滑走をしなかったのです!
そして単調なリズムを繰り返す『ボレロ』に合わせて
恋人同士の悲劇を演じ、
最後も『デス・オン・アイス』と呼ばれる
二人が絡み合って氷上に倒れこむという
ドラマチックな演技を披露したのです。
彼らの演技は観客のみならず、ジャッジの心をもつかみ
演技構成点オール満点という歴史的な記録をたたき出しました。
今は、採点基準が違うので『満点』というのが無いんですよね。
だから、いまは『満点』を超えることは不可能。
それゆえ、彼らの演技は『伝説』と呼ばれるようになったのです。 -
『伝説』となった彼らの演技は『ボレロ』の敷居の高さを
上げてしまいました。
ボレロは使用禁止になってしまったかのように
ボレロを使用する人がいなくなってしまったのです。
なんせ、『満点』を超えられるわけがありませんからね。
そういった理由から
フィギュアスケートにおいて『ボレロ』は
非常に特別な曲になりました。
また、先ほども述べたように
『ボレロ』は
とにかく単調で、同じリズムをとにかく繰り返す曲なので
曲が演技を助けてくれないんです。
即ち、スケーティングの『あら』がモロバレする
恐ろしい曲でもあります。
簡単に手を出してしまうと
「オマエ程度の演技でボレロ滑ってんじゃねーよ!」
と、言われてしまうわけですね。
そうでなくても、単調なせいで、
特にジャンプがある
ペアやシングルの演技で滑るのはより難しいのです。
まず、ジャンプを失敗した時点で
もう目も当てられなくなります。
ノーミス前提なんですよ。
これはとても難しい事ですよね。
そういうのもあって
『ボレロ』は非常に難しい曲であるということが
分かりますね。
しかも、女子シングルにおいは
ロシアのワリエワ選手のドーピング問題で
(渦中の選手はフリーでボレロを滑っていました)
いわくつきの曲になってしまいました。
しかもドーピングが発覚する以前の
とんでもない記録だけは残っちゃってるんですよね。
これは相当なルール改正があったとしても
女子の係数が変わらない限り何十年も(下手したら100年も)記録として
残っちゃうのではないかと思いますね。
悲しいです。
というわけで、
今回は「あなたの知らないフィギュアスケート『ボレロ』の世界」
をお届けいたしました。
#1にしたのは
今後も続編を出していく気満々だからです。
ちょっとディープですけどね。
そんなディープつながりで
次回は(いつになるかわかりませんが)
「あなたの知らない『セカンドループ』の世界」を
予定しています。
ではまた。